【共催行事】大阪大谷博物館令和7年度春季特別展
「改善美―美で社会を変革する―」、および博物館講座のご報告
2025.04.22
当センターが共催しております大阪大谷大学博物館令和7年度春季特別展 大阪大谷大学宗教文化研究センター創設記念「改善美―美で社会を変革する―」(2025年4月2日(水)~6月22日(日))、および4月12日(土)に開講された博物館講座「改善美」についてご報告いたします。
本展覧会では、美しいデザインで社会問題をうったえる幾田桃子氏とパートナーの千々松由貴氏の活動の軌跡が紹介されております。
アイコニックな「ジェンダー平等ドレス」や「リボンドレス」、「ANTI RACISM(人種差別反対リング)」、幾田氏の活動の原点ともいえる古着からつくられた子供服や、廃材から作成された「NO WAR(戦争反対リング)」など、その他にも多くの資料が展示されています。
また、それらの資料を展示するための演示具も廃材から作成されており、SDGsという言葉ができる前からそれを体現してきた幾田氏と千々松氏の活動と想いが、展示室内に細部にわたって広がっておりました。


中央は建築廃材で作成された「INDEPENDENT VARIABLE」
また、4月12日(土)には、大阪大谷大学におきまして本展覧会に関連した博物館講座「改善美」が開講されました。
講演者の幾田氏は、自身の経歴や展示作品について解説を行い、「本当に大切なことを心にとめてもらうためには視覚的に美しいものと内容をつなげることがとても効果的」であると主張します。
つづけて幾田氏は「「芸術美」とはわたしたちになにをもたらすのか」について考えてきたことを述べて、今年2025年はアジア・太平洋戦争の終結から80年であることに触れました。そして「美」は人間の思考と行動に影響を与えるため、戦意高揚と記録のために作成される「戦争画」のような芸術作品は戦争や差別などの社会問題の肯定への加担となることを強調しました。
幾田氏は自身の活動から、怒りや否定は社会問題解決の妨げとなり、人間は自身の言動が「正しくない」と感じても、それを批判されると「(批判を)受け入れたくない」と感じる心理がある。これに加えて、人間は変化に対して不安を感じることに気付いたことを語りました。そこで幾田氏は、社会を改善するためには対立する意見を否定せずに、全世界の人が道徳的価値観を学ぶことが重要であると述べます。
最後に幾田氏は、人間はみな奇跡の連続で誕生した唯一無二のかけがえのない存在であることを忘れずに、「困っている人・助けが必要な人がいたら勇気をだして行動してみてください」と会場にうったえました。
会場では、幾田氏の長年のファンであるという方より「当初は、幾田氏の「デザインで社会活動を行う」ということがよくわからなかったが、過去に開催された幾田氏の展示を拝見し、よく理解できた。今回、このような展覧会が開催されたことが嬉しい」という言葉をうかがうことができました。

大阪大谷大学博物館令和7年度春季特別展 大阪大谷大学宗教文化研究センター創設記念「改善美―美で社会を変革する―」は、6月22日(日)まで開催しております。ご関心のおありの方はぜひ現地まで足をお運びください。
開催中の休館日については、以下の大阪大谷大学のウェブサイトからご確認ください。
▶https://www.osaka-ohtani.ac.jp/
より詳しい博物館講座の様子は大阪大谷大学ウェブサイトの記事を御覧ください。
▶https://www.osaka-ohtani.ac.jp/news/detail/?id=1608